寝てる。

と、何か悪いものが来る。

そいつは鼠より大きく猫より小さく、軽いんだか重いんだかくらいの重さで。

そいつがおいらの掛け布団の上を、ぐるぐるぐるぐる走り回る。
ぼのぼのに出てくるチンチラみたいに。

そうするとね。

そいつがどんどんどんどん掛け布団の上を走り回って、
遂には掛け布団がズレて、
そいつに布団の中に入られるとアウト。

おいらの身体が乗っ取られてしまう。

（ということを、夢の中のおいらは知っている）

どんどんどんどん布団がズレていって、
その間おいらは金縛りに遭ってるみたいに動けなくて、
遂に首の部分が布団から出て、
そいつが入って来てしまう…‼

ってところでいつも目が覚めるんだけど。
やーな汗かいて。

あれ、あいつが布団の中に入って来ても目が覚めなかったら、一体おいらはどうなるんだろうか？

っていうのが昨日。
あいつがとうとうおいらの中に侵入して、おいらはまったく動けなくて、
ようやく絞り出した声を聞きつけて母親が寝室に入って来た。

情けない声で「あー」とか「わー」とか言葉にならない音を発してるおいらが、
それでもどうにかこうにか時間をかけて「ここに居て欲しい」という趣旨のことを伝えると母親は
「出かけなくちゃいけないから無理だ」と言う。

確かに彼女はよそゆきの服を着ていた。
彼女の周りには、同じようにお出かけ用の服を着た女性がたくさん居た。

その夢から目が覚めた時は
いつもあいつが布団の上を駆け回っていた感触が残ってるんだけど。

夢の中でおいら、あいつに乗っ取られちゃったんだろうか？
これから徐々においらはおいらじゃなくなって行くんだろうか？