べったりと。 ゆめ

べったりと。

実家の近所に似た道の上。一段上がった畑の手前の路肩に、事故で亡くなった中学の同級生のために造られた小さな塚と、両脇には鉄の花瓶に活けられた切り花。 風が吹いて花瓶が倒れ、夜の道路で車に轢かれた真っ白いオリエンタル・リリー。おしべを落としていなくて、当たりはえんじ色の花粉だらけ。その花粉も何台もの車に 
喋ったら面白かったからライヴが楽しみ ざれごと

喋ったら面白かったからライヴが楽しみ

…なんだってさ(苦笑) バンド側からしたら、そりゃー観に来てもらえるなら何がきっかけでも良いのかもしれないけど、バンドマンは面白おかしい話を聞かせてくれるお笑い芸人でもなけりゃ、あんたの話し相手をしてくれるオトモダチ候補でもないんだ。喋りからでも興味持ったんなら、せめてその後メンバー誰かひとりのプレ 
森を抜けるとそこは ゆめ

森を抜けるとそこは

贔屓にしてるバンドがちょっと変わった場所で行われるイベントに出演するというので、そのバンドを教えてくれたバンドマンの彼とふたりでお出かけ。電車をいくつか乗り継いで、けっこうな田舎にやって来た。 しばらく歩き森の一本道に入ると彼は私の背中に張りついて、私が照れながら「あー、ちょっと楽しようとしてるでし 
レコーディング ゆめ

レコーディング

友達(まったく音楽関係ではない女の子)が歌録りをするので、一緒に来てくれと言われ付き合うことになった。連れられて着いたスタジオはレコーディングスタジオというよりはラジオ局のスタジオのようで、灰色の事務机が4つ田の字に並んでいて天井からマイクがぶら下がっていた。左の机に彼女が着席し、請われるままにその 
そうだねぃ、おいらはつまらない生き物。 ざれごと

そうだねぃ、おいらはつまらない生き物。

何かを欲して焦がれるほどに『手に入れたい』と執着するほどのものが何もない。だからよけいに、何を手にしてもきっと満たされることはない。だって何が欲しいのかわからないんだもの。 簡単に手に入るものなら要らない。子供がおもちゃに飽きるように、すぐに見向きもしなくなるだろう。 君を想うと、身体中が痛い。気持 
王様は裸じゃない。 ざれごと

王様は裸じゃない。

(前置き)歌のないミュージカルシアターはりぼてのメリーゴーラウンド動きのない踊りを踊る死人どもと声もなく笑おう 2ドル50セントで階段の踊り場はあたしの舞台蟻の穴から世界を見渡す冒険家線路のないジェットコースターでどこまでも行くよ (本編)ロバの耳の王様は、詐欺師に騙され裸で練り歩くほどは愚かでなか