べったりと。

実家の近所に似た道の上。一段上がった畑の手前の路肩に、事故で亡くなった中学の同級生のために造られた小さな塚と、両脇には鉄の花瓶に活けられた切り花。

風が吹いて花瓶が倒れ、夜の道路で車に轢かれた真っ白いオリエンタル・リリー。おしべを落としていなくて、当たりはえんじ色の花粉だらけ。その花粉も何台もの車に引かれたらしく、長く赤いタイヤ跡が幾筋も。

せめて散ってない花だけでも活けなおして、花瓶が倒れないように針金で塚に巻きつけようかと。

あれだけの大きな花が、どこにも見当たらない。月明かり。真っ白い大きな花弁を探して。畑の中、有刺鉄線の向こう側に百合の花を見つけた。

でもあれは違う、切り花ではなく畑から生えている。茎は倒れて折れ曲がっているけれども。

彼のための花はどこへ行った?