不治の病
私とSくんは恋人同士。ある日、彼が不治の病に冒されていることがわかった。どうやら彼は自暴自棄になり、私に感染させて一緒に死のうとしているらしい。必死の形相で私を探している彼から、とにかく逃げる。大きなデパートの中をエレベータで一気に最上階まで昇り、1階ずつ降りながら目くらましして逃げおおせようと試みる。
逃げている途中、12階でSくんを見かけた。反射的に「逃げなくては」と思い、見つからないように注意しながら彼の様子を伺っていたのだが、彼は通路で販促している商品のデモンストレーターにキャッチアップされ、試供品をあてがわれインタビューされていた。
(こんな時にまでそんなことしなくていいよ…なんていい人なんだろう、私の恋人は)
そう思ったとたん私はSくんの目の前に立ち、キスを浴びせていた。何だかわからないけど何度もキスをして、ふたりで抱き合って泣いていた。もう逃げない。彼と一緒に居よう、そして一緒に死のう。
暗転。
ずっとSくんと一緒に過ごすはずだったのに、彼はひとりで行ってしまった。Sくんと私の共通の友人Nくん、彼とNくんの共通の友人Oさんが「あいつ、海へ行ったよ」と教えてくれた。彼は、そこで死のうとしている。と、直感的に思う。
暗転。
海へ行くローカル線に乗っている。何故かNくんOさんと共に。彼らも、Sくんに何か話があるようだ。
最徐行している電車の車窓から、線路の側道に立って車内を覗きこむ知人Kさんとその友人Tさんが見えた。私たちには気付かなかったようだが、彼らもまた私たちを探しているようだった。
…私にSくんの病気が感染したのかは、まだわからなかった。
という夢を、夜が明ける前に目覚め、寝直した後に見たんだが、何というか感触が…唇にはっきりと残るキスの感触、抱き合った腕の感触。
現実のSくんは、全然顔見知りとか程度の人なので、彼ではないと思うですが。目が覚めた時悲しくて切なくて、でも幸せで、ボロボロ泣きながら起きたです…